漫画家座談会「ポートフォリオやSNS活用などのセルフ・プロデュースについて」(コミティア146レポート)

漫画家座談会「ポートフォリオやSNS活用などのセルフ・プロデュースについて」(コミティア146レポート)

2023年12月3日(日)、東京ビッグサイトにて開催された「COMITIA(コミティア)146」にマンガノが企業出展しました。ブース内のステージではマンガノ大賞募集開始にあわせて3部構成のトークセッションが開催されました。

この記事では、第1部「漫画家座談会 〜ポートフォリオやSNS活用などのセルフ・プロデュースについて〜」の模様をお伝えします。

マンガノのブース

マンガフォリオのロゴが入ったトートバッグ

トークセッションの第1部「漫画家座談会 〜ポートフォリオやSNS活用などのセルフ・プロデュースについて〜」では、セルフプロデュースを実践されている漫画家さんをお招きして、マンガフォリオやSNSの活用方法や漫画制作について熱く語っていただきました。
その貴重なお話の一部をご紹介します。

【参加者プロフィール】

納豆まぜお先生

SNSや主にX(旧Twitter)で公開した漫画をまとめ、電子書籍で販売していたら食べていけるようになりました。主にファンタジー系の漫画を描いています。

ピエール手塚先生

会社員をしながら兼業で漫画家をしています。現在はヤングキングで「ひとでなしのエチカ」という連載をしています。

宵町めめ先生

秋田書店のヤンチャンWebで澤村伊智先生の小説「アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿」のコミカライズを連載しています。

よそのよそみ先生

メインの活動場所はX(旧Twitter)で、描き留めた話が完結したら自分で製本や電子書籍化して販売したり、取次業者に依頼して電子書店で配信してもらっています。

作品公開や情報発信で活用するツールやサービス

納豆まぜお先生
漫画を描いたらX(旧Twitter)とPixivニコニコ静画アルファポリス、マンガノの5つに載せるようにしています。それぞれで感想をもらえますし、お金がもらえる仕組みがあるのでモチベーションになっています。

ピエール手塚先生
主にコミティアで発表した漫画をX(旧Twitter)で公開し、その作品をマンガノでアーカイブしています。また、YouTubeのWEBラジオ「人生思考囲い」で呼びかけも行っています。今回のティアズマガジンには「人生思考囲い」のコラム記事も掲載されていますので、ぜひ聞いてみてください。

宵町めめ先生
コミティアで販売する製本版をBOOTHで自己通販し、電子書籍はAmazonで同様に出しています。情報発信の主な場はX(旧Twitter)ですが、もっと詳しい情報を知りたい方のためpixivFANBOXも運営しています。また、noteでの小説執筆や、YouTubeでの動画制作、pixivでの絵描きも行っています。

よそのよそみ先生
X(旧Twitter)がほぼメインで、そこで溜まった作品を自分で出版したり、取次さんに出してもらったりしています。活動のメインはX(旧Twitter)ですが、pixivアルファポリスにも漫画を投稿しており、いろんなところに作品が散らかるので、それをひとつにまとめるのにマンガフォリオがすごい役に立っているなと思いながら日々活動しています。

マンガフォリオを作った理由と作る際に意識したポイント

納豆まぜお先生
自分のホームページ代わりとして機能するように作成しました。これを見れば自分の漫画家としての活動がだいたいわかるかなと想像して作りました。主にファンタジー作品を描いていることが一目でわかるように、ヘッダーとかをファンタジー作品の絵にしたりしました。

納豆まぜお先生のマンガフォリオ:@mazemazemazeo

納豆まぜお先生のマンガフォリオ

ピエール手塚先生
主に在庫切れの同人誌をアーカイブするために利用しています。元々はX(旧Twitter)などで作品を公開していましたが、一度流れてしまうと、再び注目されることが少なく、自分でセリフリツイートをしまくらないと読者に届かないという問題がありました。そんな時にこのサービスが開始され、作品を一箇所にまとめておける場所として活用し始めました。

ピエール手塚先生のマンガフォリオ:@oskdgk

ピエール手塚先生のマンガフォリオ

宵町めめ先生
個人サイトの契約が切れたタイミングでマンガフォリオがスタートしたので、それを個人サイトの代わりに利用し始めました。主な目的は、仕事を依頼してくれる編集者さんや宵町めめという作家に興味を持ってもらえる方に対して、作品や読切、同人誌など、これまでの全ての漫画作品を一覧できる場所として使っています。

宵町めめ先生のマンガフォリオ:@kurayamiyokocyo

宵町めめ先生のマンガフォリオ

よそのよそみ先生
自分が描いた漫画を残しています。

よそのよそみ先生のマンガフォリオ:@yosonoyosomi

よそのよそみ先生のマンガフォリオ

マンガフォリオの特に好きなところは漫画に表示されるアイコンでどこで読めるかが一目で分かるところです。オタクだと「BOOTH」「FANZA」「がるまに」、一般の方だと「Amazon」「ブックライブ」「コミックシーモア」など、馴染みがあるアイコンですぐに理解できるのが良いなと思っています。

作品のリンク先を複数設定することができる

マンガフォリオの良い点、欲しい機能

納豆まぜお先生
良い点は、デザインが非常にシンプルで見やすいのが気に入っています。
追加して欲しい機能は、多くの作品の中でどれが最も人気でどれほどクリックされているかが数値で分かれば、もっと楽しいなって思います。

ピエール手塚先生
良い点は、インターフェースが非常に取っ付きやすく、すぐに使い始められたところです。
追加して欲しい機能は、納豆まぜお先生と同じように、マンガフォリオを経由して作品が閲覧されているかが分かる機能があれば、情報がより詳細に得られて面白いと思います。

宵町めめ先生
私も他の二人と同じく使いやすいところはもちろんですが、ポートフォリオに特化している点が他のSNSにはない魅力だと思っています。特に、他のSNSはサムネイルしか残せないことがほとんどですが、マンガノは本編も残せるので非常にありがたいです。
追加して欲しい機能は、ポートフォリオとしての特化をさらに進めてほしいと思っています。見た目をもっと華やかに大きくしたり、PVや動画を流せたり、画像や試し読みを載せたりなど、まるで自分のホームページのようにカスタマイズが可能になれば、もっと活用しようとなりそうです。

よそのよそみ先生
みなさんがおっしゃっているように、本当に使いやすく私のように普段は家電の説明書を見ない人でも簡単に扱えるのが魅力的です。名刺にマンガフォリオのQRコードを貼るだけで、自分がどんな漫画を描いているかを手軽に紹介できる点も便利だと感じています。追加して欲しい機能は、数字の可視化があればいいなと思います。どの販売元にどれだけアクセスされたかが分かる機能があると、面白いなと思います。

作品の宣伝で心掛けていることや工夫

納豆まぜお先生
主にSNSで発表をしているので、なるべく興味を持ってもらいやすいタイトルになるように工夫しています。具体的には、小説家になろうの小説やライトノベルみたいに、タイトルだけで内容がある程度わかるようにつけています。
本当はかっこいいタイトルをつけたいのですが、タイトルを聞いただけで内容がわからないものより「喪男と喪女が付き合ってみた話」のような、タイトルだけで内容の説明になっているタイトルをつけるようにしてます。SNSだとかっこよさよりも、わかりやすさを重視した方がいいんじゃないかなと思っています。

ピエール手塚先生
とにかく漫画を読んでもらうことが一番の宣伝だと思っています。例えばX(旧Twitter)でリンクを貼るより、直接漫画が読めるようにすることが重要だと思っています。また、SNSとかで宣伝しても見られていないことがあるので、何度もリツイートすることを恐れないことも大切です。出汁を取るって言われていますが、一番出汁、二番出汁と取っていって、ほぼ誰も反応しなくなる十番出汁くらいまで取り切って達成感を得るみたいなことをしています(笑)。

宵町めめ先生
初めて見る人のために、情報を分かりやすく整理してお伝えすることを心がけています。
また、X(旧Twitter)などでの告知は、自分が起きている時に行うことが多かったのですが、最近は朝7時頃に告知すると通勤中の方々にも見てもらえることがわかってきました。そのため、深夜に予約投稿をして、自分が寝ていても公開されるような工夫をしています。再投稿の出汁は、受け売りですが「恐れるな!」って思いながら何度もリポストしてます(笑)。

よそのよそみ先生
出汁は私も取っています(笑)。
Xで投稿する時最初のポストに書くタイトルは非常に分かりやすいものにして、本来のカッコいいタイトルは最後のポストに残しておきます。1番最初は「何々と何々が何々する話」といったシンプルなタイトルで興味を引くようにしています。
X(旧Twitter)のアルゴリズムに合わせた投稿方法を実験したこともあります。例えば全部で4枚の漫画を一つのポストにまとめて投稿するのと、一つ目のポストに1枚、それにツリーとして3枚載せたポストをつなげるとしたら、内容は同じですが後者の方がインプレッション数が何倍も伸びました。できるだけX(旧Twitter)の仕様に合わせた投稿を心がけるようにしています。

読者の反応を分析して作品づくりに反映するか

── 読者の方々の反応など、作品への手応えを分析して、作品作りや作者としての活動に反映することはありますか? 分析されている場合は、どのような部分をチェックしているか、どのようなアクションにつながっているか教えていただけたら嬉しいです。

納豆まぜお先生
X(旧Twitter)とかSNSに公開する漫画で収入を得ているので、SNSに公開して反応の悪い漫画の続きは描かないようにしています。セルフ打ち切りのようなもので、すごくシビアに判断してます。理由は、反応の悪い漫画を描き続けてたら収入を得られなくて、描き続けても食えなくなるという一番良くない状態になるからです。自分の好き嫌いや描いていて楽しいとかは関係なく、すごくシビアに判断した方がいいと思っています。

ピエール手塚先生
会社員をしていて、漫画だけで生活をしているわけではないので、自分の楽しみの方を優先させているところがあります。読者の反応で漫画を変えることはないですが、自分が描いた内容がどのように受け取られているか、意図した通りに伝わっているかは非常に気にしています。そのため、内容が正確に伝わる方法について常に考えています。

宵町めめ先生
同人誌に関しては、例えばコミティアでのポスターの配置がどう人を引きつけるかなど、宣伝方法は考えています。SNSでもどのような文章で漫画を投稿すると伸びるかを意識して、人目を引くような方法を試しています。作品の内容、あくまで同人誌では、どんなに読者が望んでいると感じても、あえて逆のことをやることがあります。天の邪鬼なところがあるので、その辺は勝手にやっています(笑)。

よそのよそみ先生
自分の好きなものを120%描いて自分の為に描いた漫画を一緒に楽しんでくれる人がいたらいいなと思っています。読者が私の作品で合わないと感じたら、他の作家さんの方に行ってくださいってスタンスです。私は自分が読みたいと思った漫画を描いているので、読者の反応はあまり気にしていません。ただ、作品のコメントなどで自分の伝えたいことが伝わってないと分かった時は、それを修正しています。
まずは描いたものを最初にpixivFANBOXで支援者限定で先行公開して、その次にX(旧Twitter)やPixivで掲載、その際に伝わりにくいなと感じたところを修正し、それをフリーの編集さんや漫画家さんに添削してもらいます。その後、完璧に加筆修正をして、電子書籍プラットフォームから配信します。配信前に読者のみなさんの意見を反映して、分かりにくい部分を改善して完成させます。

記憶に残るセルフプロデュースの成功事例

納豆まぜお先生
お金の話ですが、X(旧Twitter)でマンガがバズった時にAmazonアフィリエイトで一晩に10万円以上の収益が出た経験があります。これはアフィリエイトを活用する大きなメリットだと感じました。SNSを使ってマンガで食べたいと思っている場合、これらの収益手段に敏感でいることが重要だと思っています。もちろん楽しく描くのも大事で、僕も楽しく描いてます(笑)。

ピエール手塚先生
34歳で同人活動を始め、そこから本格的に漫画を描き始めました。年齢が高かったのでプロとしてではなくコミティアで本を出していたら、ちばてつや賞の受賞やジャンプ+での読切制作のきっかけになりました。コミティアやマンガノさんのWebサービスには非常に助けられています。あと、いま着ているのが寺沢大介先生のTシャツなのですが、子供の頃から憧れていてSNSで仲良くさせていただいていて、それが非常に嬉しいという自慢話です(笑)。

宵町めめ先生
10年くらいコミティアに参加していますが、同人誌が一気に完売するとか昼に完売することはまだありません。でも、定期的に参加し続けることで、気づけば作品が完売したり、2回目の再販になったりしています。じわじわとした喜びを感じることがあるので継続が大事だと思います。SNSでのバズり方はまだわかりません。もし方法を知っていたら、きっともっとバズっていると思うので、ぜひ教えてほしいです(笑)。

よそのよそみ先生
ナンバーナインという取次さんが売れたものの速報値を出してくれるのですが、出汁を何度も取った作品や、掲載してから間もない作品をもう一度投稿するとそれがきっかけで購入に繋がったのが速報値から分かります。自分のリアルタイムのXのTLを見て作品のことを知ってる人が多いと思っていたのですが、再掲や出汁(セルフリポスト)で新たに購入してくれる人がいるとわかって、まだ届けられていないなと感じました。


以上、第1部「漫画家座談会 〜ポートフォリオやSNS活用などのセルフ・プロデュースについて〜」の模様をご紹介いたしました。

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