「人を見た目で判断してはいけない」というのは素晴らしい考えだと思いますが、「人を見た目で判断すること」は悪いことなのでしょうか。この作品はそんな疑問から制作が始まりました。
　主人公の塩谷優人は落とし物を拾ってあげても驚かれて逃げられてしまうような、怖い顔を持っています。そんな境遇から彼には「人を見た目で判断してはいけない」という価値観を持っていました。しかしある日、そんな彼の価値観を揺さぶる出来事が起きます。それがヒロインの下村新奈との出会いです。ある日、忘れ物を教室へ取りに行った塩谷は、いつもマスクをし、目を覆うほど長い前髪を持つ下村新奈の席に、一人の美少女が座っているのを目撃します。少女は美しく長い髪、澄んだ瞳、整った顔をしており、そのあまりの美しさに、塩谷は思わず「綺麗だ」と思ってしまうです。

窓辺の彼女

2021年10月に集英社のジャンプ＋にweb持ち込みした作品になります。

この作品を作るにあたって、とにかくサンとシュンの絡みをクスッとでも笑えるものにすることを第一に考えて制作しました。また、悪魔系のキャラのデザインにはかなり力を入れました。悪魔系のデザインを持つキャラクターは人気なため数が多く、それらと差別化を図るために、悪魔の特徴の一つである角の部分を髪の毛で表現したり、ペストマスク＋スーツというゴシック調をイメージしたデザインを施したりしました。そして、物語の冒頭では「力＝お金や権力、があれば望むものが手に入る」という考え方を教えられたサンが、「力が無くても望むものが手に入る場合がある」ことに気づき、力を拒否するというシーンを描くことで、「力＝お金や権力がすべてではない」というメッセージを伝えられたのではないかと思います。
　この作品を通して、少しでも読んでよかったなと思ってくだされば、作家冥利に尽きます。

珈琲店サンヴィタリア

執筆にあたり、特にキャラクターのドラマを意識しました。どの作品もキャラクターの心情が始めと終わりで変わっているように制作していましたが、この作品は特に心情の変化を丁寧に追うことを目標としました。読者はみなキャラクターを通して物語に共感し、キャラクターの変化やそのための努力に感動すると思ったからです。そのような意識を持ちながら、草田君のインパクトある出場に嫉妬する玉森さんを冒頭で描き、玉森さんの過去を交えて、読者に彼女の苦しみとそれゆえの夢を早い段階で提示し共感させ、暗くなった雰囲気を少し明るめにするためのコメディ要素を入れつつ、望みが叶いそうなところで玉森さんを転落させ、彼女に試練を与えました。思わぬ悪口を聞いた玉森さんに対して、草田君は彼女を励まそうとしますが、彼女の視点からして、悩みもなく正体を隠すどころかそれを強みとする少年の存在は、好かれようとするも叶わなかった彼女にとって、皮肉に映ったのです。それゆえに彼女は草田君を拒絶しますが、それがきっかけで、彼女は草田君が隠してきた辛さを知ることになるのです。そして最後彼女はもう一度試練を受けます。しかし、彼女は迷いません。彼女にとってまさに理想的な存在だった草田君ですら、すべての人間に好かれていないことを知ったからです。

玉森さんは普通の女の子

かつて夢に満ち溢れていた少年は、いつからか夢から目をそらす青年になってしまった。

No More Blues!!

1度ボツになったネームを、キャラを絞り設定を変えて再構築したものです。ミステリアスな雰囲気を存分に漂わせた美青年と、儚く美しい女性。二人の関係性は、最初はただの囚人と監視官でしたが、次第にお互いが無くてはならない存在へと変わっていきます。そして脱獄が目的だった主人公は、監獄という場所で愛に出会い、脱獄か彼女を助けるかの二択を迫られ、、、

没ネーム あなたの家に帰りたい

没ネーム。高校デビューを目指すも入学式に緊張のあまりゲロをしてしまい、周りから危険人物扱いされている主人公品田虎徹と、クールを極めた美少女という一見関わりのなさそうな二人が、二人が飼っている犬を通して交流を始める、というストーリーです。
　担当氏Kには、主人公がゲロをしただけで友達がいないのはやや不自然ではないか、というご指摘をいただきました。その他ヒロインの設定など、ややありきたりすぎたのもボツの要因かもしれません。

没ネーム　美女とゲロ男

没ネームです。「純猥談」の田川とまた先生の影響をもろに受けた作品です。高校三年生の卒業式の時、そこまで仲良くしていなかったにも関わらず（？）「2ショットを撮ろ」と言ってくれた知り合いのことを思い出し、それから派生して（？？）このような作品を描こうという流れになりました。が、あえなく担当K氏によりボツ。氏曰く、「ヒロインが予防線張りまくりで好感度低い」とのことでした。全くその通りだと思います。